事業引継ぎ支援センターによる成約過去最多に
後継者不在で事業の引継ぎを検討する又は経営資源を引き継ぐ意欲のある中小企業等に対し、全国47都道府県で事業引継ぎに係る課題解決に向けた助言や情報提供、マッチング支援を行っている「事業引継ぎ支援センター」。平成30年度における事業引継ぎの成約件数は、センター開設以来過去最多となる923件と中小企業等の事業承継を強力に後押ししている。
中小企業経営者の世代交代等における後継者問題の状況に鑑みて、平成23年10月に東京・大阪に開設された事業引継ぎ支援センター(以下「センター」)。26年4月には中小企業基盤整備機構内に「中小企業事業引継ぎ支援全国本部」を設置し、全都道府県に順次設置されたセンターの支援能力向上のためM&A実務の研修や案件対応に係る助言、寄せられた相談内容等のデータベース化及び運営を行うなど側面からセンターをバックアップ。
センターでは後継者不在等の譲渡事業者(売手)及び譲受事業者(買手)の事業引継ぎに関する相談を無料で対応し、センター自体が譲渡の進め方のアドバイスや譲渡先の紹介、各種書類作成などに必要な専門家を紹介等して事業引継ぎを成約させるほか、商工会議所等の中小企業支援機関と連携したり、センターに登録している民間支援機関及びマッチングコーディネーターを紹介して売手と買手のマッチングおよび成約に至るまでの支援を行っている。
マッチングコーディネーターは平成31年3月末現在で309あり、仲介業者等121機関をはじめ、会計士・税理士法人113法人、弁護士事務所44事務所などが登録している。
中小企業基盤整備機構がまとめた報告書によると、平成30年度においてセンターに事業引継ぎの相談をした中小企業者等は1万1,477社。相談回数は2万6,377件にのぼり、1社当たりの平均相談回数は2.30回で、相談件数のうち譲渡に関するものは4,405件。上表のとおり、相談社数及び相談回数は年々大幅に増加し、30年度に事業引継ぎが成約したのは923件と年間1千件にあと少しで届く開設以来過去最多の件数となった。
同年度の成約案件の内訳は、第三者承継が67%と全体の約7割を占める、その他、従業員承継は25%、親族内承継は8%。成約に至った譲渡側企業をみると、従業員数別では「1〜5名」が45%で多く、業種別ではサービス業(28%)や製造業(24%)が多い。
税理士など士業専門家で体制を構成していて、事業承継のみならず幅広い経営相談に対応可能なセンターもある。後継者問題等を抱える中小企業者は活用したいところだ。
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