金融庁は、節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品について、依然として保険本来の趣旨を逸脱したものが確認されていることから、税務に関する事前照会を慫慂したりスキームの情報を共有するなど国税庁と連携を更に強化し保険契約者保護を図っていく。
国税庁による法人税基本通達改正の周知以降、保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動を行わないよう注意喚起を行ってきたほか、同年10月には「保険会社向けの総合的な監督指針」の一部を改正し、法人等向け保険商品の設計上の留意点として、「保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動につながる商品内容となっていないか」という観点を明確化し、課税の繰り延べを訴求した商品開発を含めた活動を防止するための指針を示してきた。
そのような中、同社には、法人から役員等個人への名義変更による「名義変更プラン」による販売を推進することを目的とした保険商品の開発方針が取締役会等の資料に明示的に記載されていたこと、同社の職員が法人税基本通達改正及び昨年6月に明確化した所得税基本通達改正の抜け穴を突いて、不適切な募集と認識しながら年金保険を使った名義変更プランを考案・推進し、契約者に対して租税回避的な行為を推奨していたなどといった悪質性が極めて高い事例が認められた。金融庁は、適切な募集・商品管理態勢の確立等の実施を求める業務改善命令を行っている。
このように法人等の財テクなど節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品への対応として、商品審査及びモニタリング段階での取組みを連携強化。具体的には、商品審査段階では、金融庁が、保険会社に対し国税庁への税務に関する事前照会を慫慂するとともに、保険会社から同意を得た上で国税庁に事前照会を必要に応じて実施し、商品審査で照会結果を活用する。モニタリング段階では、国税庁は租税回避スキームの情報、金融庁は商品開発や募集現場で利用されるスキームの情報を両庁の意見交換の場等を通じて提供していく。
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